子宮頸がん

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子宮頸がん

子宮体がん子宮内膜がん

【1】子宮頸がんとは
子宮体がん|子宮内膜がん

子宮は全体として中空の西洋梨のかたちをしています。球形に近いかたちの体部は胎児の宿る部分であり、下方に続く部分は細長く、その先は腟に突出しています。この部分が頸部で、腟のほうから見ますと奥の突きあたりに頸部の一部が見えます。その中央には子宮の内腔に続く入口があり、この入口を外子宮口と呼んでいます。
子宮頸がんは、この外子宮口付近に発生することが多いのです。普通の婦人科の診察でこの部分を観察したり、検査すべき細胞や組織を採取することが可能です。したがって、早期発見が容易なわけです。
頸部の癌は非常にゆっくり増殖しますが、癌細胞が子宮頸部に見つかる以前の初期に正常でない細胞が見つかります。この細胞を異型細胞と呼び、細胞診ではこの段階から診断することができるのです。
ヒューマン・パピローマ・ウイルス(HPV)の感染が、子宮頸がん、特に扁平(へんぺい)上皮がんの確立したリスク要因とされています。子宮頸がん患者の90%以上からHPVが検出され、ハイリスク・タイプ(16型や18型など)で浸潤がんへの進展がみられやすいことがわかっています。子宮頸がんのリスク要因として、低年齢での初交、 性的パートナーが多い、多産、他の性行為感染症、が報告されていますが、その多くはHPV感染のリスク要因です。また、喫煙は確立したリスク要因とされています。その他、経口避妊薬の使用、低所得階層との関連性も指摘されています。子宮頸部腺がんについても、扁平上皮がんと同様に、HPV感染や経口避妊薬の使用との関連が指摘されています。

【2】症状

初期の子宮頸がんでは、全く症状がないのが普通です。
癌が少し進行するとはじめの症状としては、月経でない時の出血、性行為の際の出血やふだんと違うおりものが増えたりします。他に月経の量が増えたり長引いたりすることもあります。
夫を失った人や高齢の婦人では性行為の際の出血ということは少ないので、頸部がんが相当進行してから後に出血を見ることがよくあります。このような方は、特にふだんの健康診断を受ける必要があります。
しかし、各地の集団検診において高齢の方の受診率が極めて低いため、高齢者の方に進行した頸部がんが今なお多いのが現状です。

【3】診断

1.細胞診

癌細胞は正常の細胞と異なったかたちや色合いをしています。癌の部分からこすりとった細胞や、癌から落ちてきたものをガラス板に塗り、色素で染めて顕微鏡で見ますと、癌細胞を見つけることができます。この診断法を細胞診と呼んでおり、癌を診断する各種の検査法の中でも非常に重要な方法です。
頸部がんは前にも述べたように外子宮口の付近から発生することが多いので、この部分を綿棒またはヘラのようなものでこすって細胞診を行います。この方法は簡単で痛みもほとんどなく、大勢の人に短い時間で行えますので、集団検診ではこの方法だけを行うことが普通です。ただし、細胞診だけで癌を決定することはしません。なぜなら、癌でなくても、癌と紛らわしい細胞が出ることがあるからです。細胞診に異状があった場合は、次の検査を行います。

2.組織診

疑わしい部分から組織をとり、標本をつくって顕微鏡で診断する方法を組織診と呼びます。子宮頸部の組織診の際は、ほとんど痛みもなく、出血も間もなく止まります。本診断は外来にて実施可能です。ただ採取する組織が小さいので、0期の癌か、それより進行した癌か、または0期にもなっていない状態かを鑑別するのが困難なことがあり、何回か組織診を行うこともあります。ときには、「円錐切除術」と呼ばれる方法で組織診を行うこともあります。この場合は、入院する必要があります。

3.コルポ診

コルポスコープという拡大鏡のような機械で、子宮頸部粘膜表面を拡大して、細かい部分を観察する診断法をコルポ診と呼んでいます。組織診の組織を採取する際に欠かせません。

【4】病期(ステージ)

ひとたび子宮頸がんと診断されると、癌が身体の他の部位に拡がっているかどうか、さらに詳しく検査が行われます。医師は治療を計画するために、癌の進行程度を知る必要があります。子宮頸がんには次のような病期分類が用いられます。
0期または上皮内がん(CIS)
0期の子宮頸がんは非常に早期の癌です。癌は子宮頸部の上皮内のみに認められます。
I期
癌が子宮頸部に限局して認められ、他へ拡がっていない状態(ただし子宮体部浸潤の有無は考慮しません)

 Ia期  組織学的にのみ診断できる浸潤がんで、肉眼的に明らかな病巣はたとえ表層浸潤であってもIb期とします。
浸潤は、計測による間質浸潤の深さが5mm以内で、縦軸方向の拡がりが7mmを超えないものとします。浸潤の深さは、浸潤がみられる表層上皮の基底膜より計測して5mmを超えないもので、脈管(静脈またはリンパ管)侵襲があっても進行期は変更しません。
 Ib期  臨床的に明らかな病巣が子宮頸部に限局するもの、または臨床的に明らかではないがIa期を越えるもの

II期
癌が子宮頸部を越えて拡がるが、骨盤壁または、腟壁の下1/3には達していないもの

 IIa期  癌は腟壁に拡がっているが、子宮頸部の周囲の組織、すなわち子宮傍組織には拡がっていないもの
 IIb期  癌が子宮傍組織に拡がっているが、骨盤壁まで達していないもの

III期
癌が骨盤壁まで達するもので、癌と骨盤壁との間に癌でない部分を持たないもの または腟壁浸潤が下方部分1/3を越えるもの

 IIIa期  癌の腟壁への拡がりは下方部分1/3を越えるが、子宮傍組織への拡がりは骨盤壁にまで達していないもの
 IIIb期  癌の子宮傍組織への拡がりが骨盤壁にまで達しているもの、または腎臓と膀胱をつ なぐ尿管が癌によりつぶされ、水腎症や無機能腎を認めるもの

IV期
癌が小骨盤腔を越えて拡がるか、膀胱・直腸の粘膜にも拡がっているもの

 IVa期  膀胱や直腸の粘膜へ癌が拡がっているもの
 IVb期  小骨盤腔を越えて、肺のような遠隔臓器に癌の転移があるもの

【5】治療

子宮頸がんには、外科療法、放射線療法、抗癌剤による化学療法の3つの治療法があります。

1.外科療法

(1)早期癌に対する治療
治療は以下のうちのいずれかです。
・凍結療法:癌細胞を凍らせて殺します。
・高周波療法:高周波を用いて電磁波の熱で癌細胞を殺します。
・レーザー治療:レーザー光線を用い癌を殺します。

(2)手術治療
外科手術は最も一般的で、医師は以下の術式のひとつを用いて癌をとり除きます。

1.円錐切除術
癌が見つかった子宮の頸部組織を円錐状の組織として切除します。円錐切除は生検組織をとる診断的意味の他に、早期癌では治療的意味も含んでいます。

2.単純子宮全摘出術
癌に侵された子宮を摘出する手術です。子宮が経腟的に摘出されれば腟式単純子宮全摘、腹壁を切開して行われれば腹式単純子宮全摘といいます。ときには、両側付属器切除術といい、卵巣・卵管も切除されます。

3.広汎子宮全摘出術
患部を子宮と腟の一部を含め、骨盤壁近くから広い範囲で切除します。子宮頸がんに関連する所属リンパ節も同時に切除します(リンパ節郭清)。通常、リンパ節は小豆のようなかたちをしており、全身に存在します。そして感染と戦う細胞を産生したり、貯蔵したりしますが、癌の時には転移したり、他臓器への転移経路となるのでとり除かなければなりません。

4.骨盤内臓全摘術
癌が子宮頸部ばかりでなく女性性器外に拡がっていると、子宮・腟とともに下部結腸、直腸、膀胱をもとらなければなりません。これを骨盤内臓全摘術といいます。術後、人工肛門や回腸導管(回腸を用いて人工的に尿路を再建する)、造腟術など形成手術が必要となります。

2.放射線療法

放射線療法には癌細胞を殺し、腫瘍を縮小するためにX線や高エネルギー線が用いられます。放射線は体外から放射線を照射する外照射か、癌細胞の認められる領域に薄いプラスチックチューブを通し、放射線を出すラジオアイソトープを使用したプラスチックを入れて治療する腔内照射とがあります。放射線単独で治療する場合と、手術と併用する場合があります。

3.化学療法

化学療法は癌細胞を殺すための抗癌剤を使用します。薬剤は経口的に投与されたり血管または筋肉注射として投与されます。抗癌剤は血流に入り全身をめぐり、子宮頸部を越えて拡がった癌細胞を殺すので全身療法と呼ばれています。
病状に応じて、過去の治療成績に基づき、現在最も有効と認められている手段は「標準的治療」と呼ばれています。一方、難治性の進行癌では、標準的治療を行っても、多くの場合満足できる結果をもたらすのは難しいことです。そのため、さまざまな新しい療法が研究され、試みられています。新しい療法は最新の情報をもとに、よりよい治療を目指して行われますが、必ずしも標準的治療よりもよい結果をもたらすとは限りません。新しい療法は担当医だけでなく、多くの専門家の認める理にかなった方法で、一定の管理のもとで行われる場合を「臨床試験」といいます。これから治療を受ける場合は標準的治療を受けるのか、臨床試験中の新しい療法を受けるのか、どちらかを選ぶことになります。

【6】病期(ステージ)別治療

上記の各種療法は癌の進行状況、すなわち「病期」により選択され、その他癌の大きさ、年齢、全身状態、将来の出産の希望の有無などを考慮して決定されます。なお、妊娠中の頸部がんの治療は、病期と妊娠月数との兼ね合いで遅らせることができるかもしれません。
0期
次のうち、いずれかの治療が行われます。
・凍結療法
・高周波治療
・レーザー治療
・円錐切除
・腹式・腟式子宮全摘
閉経後の婦人や、妊娠、出産の希望のない婦人に対しては原則として子宮を摘出します。
I期
癌細胞が正常組織にどのくらい深く浸潤しているかにより、次のうちいずれかの治療が行われます。
Ia期
・子宮全摘、両側付属器切除(通常、若い婦人では卵巣を残します)
・円錐切除(将来、挙児を希望する場合)
・準広汎または広汎子宮全摘出術(3~5mmのより深い浸潤がある場合)
・腔内照射
Ib期
・腔内照射と外照射の併用
・広汎子宮全摘出術(リンパ節郭清)
・広汎子宮全摘出術(リンパ節郭清)と術後放射線治療
II期
次のうち、いずれかの治療が行われます。
・腔内照射と外照射の併用
・広汎子宮全摘出術(リンパ節郭清)
・広汎子宮全摘出術(リンパ節郭清)と術後放射線治療
III期
次のうち、いずれかの治療が行われます。
・腔内照射と外照射の併用
・放射線治療と化学療法の併用による新しい臨床試験
・リンパ節のサンプリングによる病期決定の外科臨床試験と外照射の併用
開腹手術をして転移が疑われるリンパ節を採取し、検査することを「サンプリング」といい、リンパ節とリンパ管を系統的にすべて切除することを「リンパ節郭清」といいます。リンパ節のサンプリングの結果、癌の転移が認められれば、その部分を含むよう放射線を照射する範囲を拡大します。
IV期
次のうち、いずれかの治療が行われます。
IVa期
・腔内照射と外照射の併用
・骨盤内臓全摘術 ・放射線と化学療法の併用
・リンパ節のサンプリングによる病期決定の外科臨床試験と外照射の併用
IVb期
・疼痛など症状を軽減させるための放射線治療
・全身的化学療法

【7】再発

再発とは、治療で完全に消えたようにみえてもわずかに残っていた癌細胞が増殖し大きくなって発見された状態です。骨盤内におこる局所再発と、肺や肝臓のような原発病巣から離れた遠隔臓器に転移する遠隔転移再発とに分けられ、それぞれ治療法も異なります。

1.局所再発

以下のいずれかの治療が行われます。
・骨盤内臓全摘術
・放射線療法と化学療法の併用

2.遠隔転移再発

病巣が孤立性であれば外科手術を、多臓器におよぶ再発や多発性の転移には化学療法が行われます。しかし、標準的治療法はなく再発部位に合わせ、一人一人に適切な治療を行います。

3.対症療法

治癒させる目的ではなく、症状を軽減させる療法です。

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