甲状腺がん

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【1】甲状腺とは?
甲状腺がん

甲状腺とは、のどぼとけのすぐ下で気管を取り囲んで存在している、蝶が羽根を広げたような形をしている小さな臓器(内分泌腺)です。大きさは縦約4cm、横約4cmで、重さが約20gぐらいです。
甲状腺の働きは、食物の中のヨードを材料として、全身の新陳代謝や成長の促進(そくしん)に関わる甲状腺ホルモンを作り、体内へ分泌しています。つまり、甲状腺は発育や成長に欠かすことができないホルモンを生産・分泌している大切な臓器であるということです。
さらに、甲状腺ホルモンは精神神経や身体の活動の調整にも働きます。
甲状腺腫瘍には、「良性」と「悪性」の2つがあり、良性腫瘍が全体の約90%以上を占めています。甲状腺腫瘍の悪性腫瘍は「甲状腺がん」と呼ばれます。ここでは、「甲状腺がん」について説明します。

【2】甲状腺がんとは?

甲状腺がんとは、甲状腺に発生する癌のことで、次の4つの種類に分けられています。

 分化がん  乳頭がん
濾胞がん(ろほうがん)
 髄様がん(ずいようがん)
 未分化がん(みぶんかがん)

甲状腺がんの発生頻度は、1,000人に 1人程度なので、それほど多く見られる癌ではありません。1年間での甲状腺がんでの死亡者数は約300人ぐらいです。
年齢では、甲状腺がんは 30歳~50歳代ぐらいに多く発生しますが、子供などの若い人にも起こることがあります。ただ、未分化がんは高齢者に発生します。 性別では、甲状腺がんは男性よりも女性に圧倒的に多く、男性の 5倍ぐらいになります。ただ、未分化がんは男性と女性とも同じぐらいの割合です。
甲状腺がんの原因は、はっきりしたことはわかっていませんが、大量の放射線被爆(ほうしゃせんひばく)が関係していると考えられています。事故などで首に強い放射線をうけてしまった場合や、放射線治療を受けたことのある人は、甲状腺がんになるリスクが高くなるといわれています。
また、甲状腺刺激ホルモンが増加した場合などが原因になるのではないかとされています。
遺伝的体質にも一部原因があるのではないかといわれています。甲状腺がんのタイプの中でも、髄様がん(ずいよう がん:甲状腺の特殊なC細胞から発生する癌)は、その約半数ぐらいが遺伝的体質によるものであることがわかっています。ですので、家族に髄様がんになった人がいる場合は、注意したほうがよいでしょう。
遺伝的体質にも一部原因があるのではないかといわれています。甲状腺がんのタイプの中でも、髄様がん(ずいよう がん:甲状腺の特殊なC細胞から発生する癌)は、その約半数ぐらいが遺伝的体質によるものであることがわかっています。ですので、家族に髄様がんになった人がいる場合は、注意したほうがよいでしょう。
そして、食生活では、甲状腺ホルモンの材料になる物質である「ヨード」を摂取する量が多すぎる、または少なすぎる場合に、甲状腺がんが発症するリスクが高くなるとされています。 海藻類などに多く含まれるヨードの摂取量によって、甲状腺の病気のタイプが変わってきます。ヨードの摂取量が不足している地域では、怖いタイプの甲状腺がんが多いというデータがあります。
日本人はヨードを多く含む海草をよく食べるので、甲状腺がんになる確率が高いとされていますが、甲状腺がんでも怖くないタイプの甲状腺がん(乳頭がん)が多いのです。
さらに、慢性甲状腺炎に甲状腺がんが合併することもあります。
ちなみに、慢性甲状腺炎とは、甲状腺ホルモンの生産・分泌が低下することによって全身の新陳代謝がおとろえる病気で、甲状腺機能低下症のほとんどはこの慢性甲状腺炎によるものです。
慢性甲状腺炎の別名は「橋本病」といい、「バセドウ病」と同じく自己免疫疾患のひとつで、甲状腺の病気のなかでは、この2つが多くみられるものです。つまり、慢性甲状腺炎(橋本病)とバセドウ病は代表的な自己免疫性甲状腺疾患といえます。性別では、男性よりも女性のほうが圧倒的に多く、男性の数十倍と言われています。女性の少数が、潜在的にこの病気をもっていると考えられています。 また、年齢では 40~50歳代にもっとも多くみられます。

【3】種類

それぞれの甲状腺がんについて見ていきましょう。乳頭がんと濾胞がんは「分化がん」とも呼ばれます。

1.乳頭がん (にゅうとう がん)

乳頭がんは、甲状腺がんの中でも最も多く、甲状腺がんの約90%を占めています。とてもゆっくり進行し、転移することも少ないので、治療をしなくてもよい場合もあります。ただ、頸部(けいぶ:首のこと)のリンパ節へ転移することはあります。
治療後の経過(予後)も良好なので、命に関わることは少ないですが、乳頭がんの約 10%は、悪性度の高い未分化がんに変わります。ただ、未分化がんへ変化するにはかなり長い期間がかかるので、乳頭がんが未分化がんになるケースは高齢者の方に見られます。
乳頭がんは、40~50歳代に多く発症します。高齢で発症するほど、悪性度が高くなりやすいです。

2.濾胞がん (ろほう がん)

濾胞がん(ろほう がん)は、乳頭がんの次に多くみられる甲状腺がんで、甲状腺がんの約5%を占めています。
おだやかな性質ではあるのですが、乳頭がんと比べるとやや悪性度が高く、血流にのって、肺、骨、脳、肝臓などに転移(遠隔転移)しやすいという性質をもっています。治療後の経過(予後)は比較的良いです。
年齢では、40~60歳代に多く発症します。男性より女性に多く、高齢で発症するほど、悪性度が高くなりやすいです。良性の濾胞腺腫(ろほうせんしゅ)との区別が難しいです。

3.髄様がん (ずいよう がん)

髄様がん(ずいよう がん)とは、傍濾胞細胞(ぼう ろほう さいぼう:C細胞)という細胞が、癌化することで発生する甲状腺がんです。傍濾胞細胞とは、カルシトニンという、カルシウムの代謝に関係するホルモンを分泌する働きをもつ細胞です。
髄様がんは、甲状腺がんの約 1~2%と、とてもまれな癌です。また、分化がん(乳頭がん・濾胞がん)よりも悪性度は高いのですが、未分化がんよりも悪性度は高くありません。
髄様がんの約半数ぐらいが、遺伝的体質によるものであることがわかっています。ですので、家族に髄様がんになった人がいる場合は、注意したほうがよいでしょう。

4.未分化がん (みぶんか がん)

未分化がんとは、増殖・進行とも早く、転移しやすいとう悪性度の高い甲状腺がんです。ほとんどが発病してから半年以内に死亡してしまいます。上で解説した 3つのタイプの甲状腺がんよりも悪性度が高く、甲状腺がんの約1~2%とあまり見られないタイプです。
また、乳頭がんが未分化がんに変化することもありますが、変化するにはかなり長い期間が必要なので、乳頭がんが未分化がんになるケースでは高齢者の方に見られます。

【4】症状

甲状腺がんの症状は、分化がんと未分化がんで違いがあります。

1.分化がん(乳頭がん・濾胞がん)の症状

分化がん(乳頭がん・濾胞がん)の初期では、首の「のどぼとけ」の下あたりや他の部分にかたくて痛みのないしこりがあらわれます。ほとんどの場合は、表面にでこぼことしてあらわれ、唾液をのみこむときに上下に動くという特徴があります。
分化がんでは、しこり以外の自覚症状はあまりありません。ただ、長い時間をかけて腫瘍が大きくなってくると、のどの違和感、声のかすれ、そして頸部リンパ節(けいぶ りんぱせつ:首のリンパ節のこと)へ癌が転移します。
さらに進行すると、気管・食道へと癌が広がってしまいます。気道や食道にまで癌が入り込むと、血たんや呼吸困難なども症状が発症します。

2.未分化がんの症状

未分化がんの症状は、甲状腺のはれが急に大きくなり、痛みや発熱などが起こります。さらに進行すると、気管や食道を圧迫することで、呼吸困難や食べ物が飲み込みにくくなったり、血たんなどの症状があらわれたりします。

【5】検査

甲状腺がんは、甲状腺の専門医なら「触診(しょくしん)」により、首を触るだけでわかることもあります。
ただ、触診だけでは、腫瘍が良性が悪性かの判断ができないので、超音波検査を行います。超音波検査により、癌である可能性がある場合は、腫瘍(しゅよう)に細い針を刺して細胞を採取して調べる「穿刺吸引細胞診(せいんし きゅういん さいぼうしん)」を行うことで、甲状腺がんの種類や良性か悪性かなどを診断することができます。 髄様がん(ずいよう がん)の検査は、腫瘍マーカーによる検査で、CEAとカルシトニンの濃度が高く出ます。
腫瘍が大きい場合や、未分化がんの場合は、「超音波検査」、「X線CT検査」、「MRI検査」、「骨シンチグラフィー検査」などで、癌の広がり具合や転移があるかどうかを調べる場合もあります。
骨シンチグラフィー検査とは、癌が骨のどの部分にできているのかを調べるための検査です。癌細胞と結びつきやすい「RI (ラジオアイソトープ=放射性同位元素)」を静脈から注入し、癌のあるところに「RI」を集まらせて、その状態を特殊なカメラで撮影します。

【6】甲状腺がんの病期

甲状腺がんの病期(ステージ)は、癌の進行具合、リンパ節や他の臓器への転移があるか、などにより「Ⅰ期」~「Ⅳ期」の 4段階に分類されています。

1.乳頭がん・濾胞がん(ろほうがん)

45歳未満
 I期  癌が甲状腺内に限局しているか、甲状腺に隣接する組織、リンパ節まで広がっている。他の部分までは転移は見られない。
 II期  甲状腺から肺や骨、他の部分にまで転移が見られる。
45歳以上
 I期  癌が甲状腺内に限局していて、大きさは2cm未満。
 II期  癌が甲状腺内に限局していて、大きさは2cm以上から4cm未満。
 III期  癌の大きさが4cm以上、もしくは癌が甲状腺のすぐ外側まで広がっているが、リンパ節までは転移がみられない。癌が、甲状腺のすぐ外側まで広がっており、さらに気管または喉頭付近のリンパ節まで転移している。
 IV期  甲状腺の外側に癌が拡がっており、皮膚、気管、食道、喉頭および反回神経下の組織まで広がっているか、癌がリンパ節まで転移している。あるいは、癌が甲状腺のすぐ外側の組織まで広がっている。癌は頸部または肺の間にある片側または両側のリンパ節まで転移している。

2.髄様がん

 0期  癌が甲状腺内に認められないことがあると言われている。特殊な検査でのみ発見される。
 I期  甲状腺内に癌が限られており、大きさは2cm未満。
 II期  甲状腺内に癌が限られており、大きさは2cm以上、4cm未満。
 III期  大きさが4cm以上か、癌が甲状腺のすぐ外側まで拡がっている。しかし、リンパ節までの転移は認められない。
 IV期  甲状腺の外側に癌細胞が広がっており、皮膚・気管・食道・喉頭および、あるいは反回神経下まで広がっている。

3.未分化がん

 IV A期  甲状腺内に癌があり、リンパ節まで拡がっていることがある。手術による癌細胞の摘出は可能である。
 IV B期  甲状腺の外側に癌が広がっており、リンパ節まで転移していることがある。手術による癌の摘出手術は不可能である。
 IV C期  癌が肺、骨などに転移が認められる。手術による癌の摘出術は不可能。
【7】治療

甲状腺がんの治療は、外科療法(手術)、放射線療法、化学療法(抗癌剤治療)、が主な治療法です。治療法は、癌の種類や進行具合、また患者さんの状態などを考慮して治療法が決定されます。 それでは、甲状腺がんの各治療法についてくわしく見ていきましょう。

1.外科療法(手術)

分化がん(乳頭がん・濾胞がん)、髄様がん(ずいようがん)の治療は、手術が基本となり、大半が手術により治すことができます。
癌がステージⅠ期・II期であれば、左右に分かれている甲状腺(左葉・右葉)の癌のある片方を切除する「葉切除(ようせつじょ)」を行います。比較的に簡単な手術で行うことができ、治療後の経過(予後)も良好です。 甲状腺がんでも、10mm以下の癌であれば手術せず経過を見ることもあります。また、内視鏡による手術を行う場合もあります。ステージⅢ期と大きな癌、または悪性度の高い癌に対しての治療は、甲状腺全体を切除する「全摘術」を行います。
癌が、気管、食道、喉頭(こうとう)、のどのリンパ節である頸部リンパ節(けいぶ りんぱせつ)、などにまで進んでしまっている場合は、それらも手術により切除する必要があります。 甲状腺がんの手術による切除範囲が大きければ大きいほど、いろいろな合併症が起きてきます。
合併症としては、甲状腺機能低下(ホルモン分泌の不足)、上皮小体機能低下(血液の中のカルシウムが不足する)、反回神経麻痺(声のかすれ)、などがあります。
ただ、甲状腺機能低下と上皮小体機能低下(じょうひ しょうたい きのうていか)については、飲み薬により治療することができます。
反回神経麻痺(はんかい しんけい まひ)は、手術のときに甲状腺に接している反回神経を切除してしまうと起こるので、できるだけ温存することを考えて手術をします。症状は、声のかすれや水分を飲むとむせるなどです。

2.放射線療法

手術で摘出できなかったために、術後、放射線療法を行うことがあります。
放射線治療は、X線などの放射線を癌に照射して、癌細胞を攻撃・死滅させる治療のことです。体の外から放射線を照射する「外部照射」と、体の中から放射線を照射する「内部照射」があります。
甲状腺がんの中でも、「ステージⅢ期とⅣ期の分化がん」と「未分化がん」には、放射線を外部から照射する「外部照射」により治療します。それ以外の甲状腺がんの場合は、癌に直接、放射性元素(放射線を出す物質)を入れる「小線源治療(しょうせんげん ちりょう)」を行います。
放射能を発生する性質のある「放射線ヨード」を飲んで小線源治療を行う場合もあります。甲状腺はヨードを取り込む性質があるので、放射性ヨードをカプセルに入れて、それを手術の後に飲みます。甲状腺がんの転移があった場合、その癌の部分に放射性ヨードが取り込まれて放射線を発生するので、癌細胞を攻撃することができます。
ただ、放射線ヨードを飲んで行う小線源治療の効果が期待できるのは、乳頭がんと濾胞がん(ろほうがん)に限られます。

3.化学療法(抗癌剤治療)

甲状腺がんでも、髄様がん(ずいようがん)、未分化がん、ステージⅣ期の乳頭がんには、様々な種類の抗癌剤を使うことがあります。

4.内分泌療法

甲状腺がんの内分泌療法(ホルモン療法)では、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌を抑える「TSH抑制療法(TSH よくせい りょうほう)」があります。
「甲状腺刺激ホルモン」は、脳の「脳下垂体(のうかすいたい)」という場所から分泌され、甲状腺に働きかけることで、甲状腺は、「甲状腺ホルモン」を分泌します。
甲状腺ホルモンは、全身の新陳代謝(しんちんたいしゃ)や成長の促進(そくしん)に関わる大切なものですので良いのですが、甲状腺刺激ホルモンは甲状腺の癌細胞の増殖にまでも働きかけてしまうのです。
つまり、甲状腺刺激ホルモンが多く存在すると、癌が活性化して増殖能力などが高くなってしまうので、甲状腺がんの手術の後、甲状腺刺激ホルモンを抑制して再発を予防するために、甲状腺ホルモンをより多めに服用することがあります。
ただ、TSH抑制療法の効果が期待できるのは、乳頭がんと濾胞がん(ろほうがん)に限られます。

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